デバッグルーム404

青い本-3章-

青い本を開いてみた。

3章は誰かの青春の1ページが数10ページに渡って書かれていた。どうやらここで完結らしい。

文章は、もう青春なんて言葉では片づけられないものになっていた。

最初は、ただの後日談だった。

卒業式。桜。写真。笑い声。

誰もが「終わった」と思っていた、ありふれた区切り。

でも、そこから先のページは妙に細かく、妙に執着していた。

「あの日、駅のホームで」

「あの日、河川敷で」

「あの日、教室で」

何度も何度も同じ場面を思い返して、同じ言葉を繰り返している。

まるで、記憶を何かに縫い付けるみたいに。

読み進めていると、文章が少しずつ崩れていった。

誤字が増え、句読点が消え、行間が詰まり、文字が歪んでいく。

ページの端には、同じ言葉が何度も殴り書きされていた。

「忘れたら終わる」

「忘れたら終わる」

「忘れたら終わる」

そして、最後の数ページは、もはや文章になっていなかった。

意味のない単語の羅列。

誰かの名前。

日付。

数字。

……そして、唐突にこう書かれていた。

「見えてしまった」

「窓の外に、俺がいる」

「俺が、俺を見ている」

その次のページには、紙が破れるほどの筆圧で、たった一文だけが残っていた。

「もう耐えられない」

最後のページは、インクが滲んでほとんど読めなかった。

ただ、端に残った走り書きだけが、妙に鮮明だった。

「すべてを捨てれば、消えられると思った」

「だから俺は、全部捨てて、外へ出た」

「笑いながら走った」

「泣きながら走った」

「そして——」

そこから先は、真っ白だった。

彼は発狂して、どこかへ走り去ってしまったらしい。

そのまま彼はどうなってしまったのだろう?

Lv113/182