デバッグルーム404

青い本-2章-

青い本を開いてみた。

2章は誰かの青春の1ページが数10ページに渡って書かれていた。どうやら1章の続きらしい。

ページの中の空気は、どこか湿っていて、やけに静かだった。

花火大会。駅前のベンチ。コンビニの前で飲んだぬるい炭酸。

そんな場面が何度も繰り返されて、少しずつ、何かが壊れていくのが分かる。

言えなかった言葉が積もって、伝えられなかった気持ちが腐っていく。

読み進めるほど、胸の奥が嫌な感じに重くなった。

そして、あるページで唐突に文章の雰囲気が変わった。

「あの日、駅のホームで待ち合わせた」

「でも、来なかった」

「連絡もつかなかった」

「理由は書かない」

そこから先は、思い出話というより、ただの記録みたいになっていた。

誰がどこに行ったとか、誰が何を言ったとか。

日付と時間だけが淡々と並んでいる。

最後の数ページには、同じ一文が何度も書かれていた。

「忘れたら、いなくなる」

「忘れたら、いなくなる」

「忘れたら、いなくなる」

最終ページには、文字が滲んで読みにくくなっていたが、辛うじてこう書かれていた。

「この章を読んだ君も、もう知ってしまった」

……誰の青春だったんだ。

そして、これは本当に“物語”なのか?

Lv112/182