青い本-2章-

青い本を開いてみた。
2章は誰かの青春の1ページが数10ページに渡って書かれていた。どうやら1章の続きらしい。
ページの中の空気は、どこか湿っていて、やけに静かだった。
花火大会。駅前のベンチ。コンビニの前で飲んだぬるい炭酸。
そんな場面が何度も繰り返されて、少しずつ、何かが壊れていくのが分かる。
言えなかった言葉が積もって、伝えられなかった気持ちが腐っていく。
読み進めるほど、胸の奥が嫌な感じに重くなった。
そして、あるページで唐突に文章の雰囲気が変わった。
「あの日、駅のホームで待ち合わせた」
「でも、来なかった」
「連絡もつかなかった」
「理由は書かない」
そこから先は、思い出話というより、ただの記録みたいになっていた。
誰がどこに行ったとか、誰が何を言ったとか。
日付と時間だけが淡々と並んでいる。
最後の数ページには、同じ一文が何度も書かれていた。
「忘れたら、いなくなる」
「忘れたら、いなくなる」
「忘れたら、いなくなる」
最終ページには、文字が滲んで読みにくくなっていたが、辛うじてこう書かれていた。
「この章を読んだ君も、もう知ってしまった」
……誰の青春だったんだ。
そして、これは本当に“物語”なのか?
Lv112/182
